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(46) 中国語会話 中級プレミアム・レッスン 【 忠告の表現 (1) 】 有句话不好听,你想不想听? / 我们一定要耐着性子。 |
忠告とは相手の過ちや欠点を指摘して直すように働きかける行為ですが、忠告される側にとっては、聞いて不愉快またはうるさいと感じてしまうこともよくある話です。では、忠告が耳の痛い話、耳障りな話にならないようにするには、どうしたらよいでしょうか。 端的に言うと、相手にとって耳の痛い話であるからには、その耳の痛みを和らげる工夫が必要になります。そのためには、まず心をこめて誠意ある態度で話すことが一番大切です。そのうえで、聞く側の心理的抵抗を和らげる表現方法を工夫すれば、忠言も耳に馴染み易くなります。中国人の言語表現には、そうした配慮を表したフレーズが少なくない。下記の例文は日常生活の中でよく使われています。相手を説得するのに、複雑で微妙な人間心理に対する深い読みや、古人の智恵を生かすところに中国的特色があるといえそうです。 Ⅰ 忠告の前置きフレーズ 1. 有句话不好听,你想不想听? 2. 我说句不中听的话吧。 3. 要是你愿意听,我就告诉你。 4. 俗话说:忠言逆耳利于行,我奉劝你一句。 5. 我说话请你别生气。 6. 要是我说得不妥,你就当没听见。 7. 我不敢催促你,你自己慢慢想吧。 ★語注; ![]() ●好听 hǎo-tīng;形容詞 (聞いて)心地よい ●中听 zhōng-tīng;形容詞 (聞いて)楽しい ●忠言逆耳利于行 Zhōng-yán nì-ěr lì-yú xíng;諺 忠言は耳障りだが、行いを改めるのに役立つ ●劝 quàn;動詞 忠告する/勧める ●奉劝 fèng-quàn;謙遜語 ご忠告申し上げる ●当 dàng;動詞 …とみなす ★解説; ●例文1は典型的な忠告の前置きフレーズです。“不好听”や“不中听”は感覚的、生理的に誰からも嫌がられる言葉ですが、例文1、2はそんな刺激的な言葉を用いて相手の反応、出方を窺う。同時に、来るべき耳障りな忠告に対する相手の心の準備を促してもいる。もちろん例文1に対して、“好听的话我想听;不好听的话我不想听”と抜け目なく答える手もあるにはあるが、不都合も付き纏う。なぜなら、他人の意見に耳を貸さない自己中心的な小人物であることを自分からさらけ出すことになってしまうからです。なので、心でそう思っても、口にはなかなか出しにくい。そこでジレンマに陥ってしまう---「耳障りな忠告は聞きたくない、かといって、小人物と思われるのも嫌だ」。そんなわけで、面子を重んじる中国人にとって、例文1の質問は、なかなか悩ましいものです。 例えば、回答をひとまず保留して、“那得看你这话是什么内容。 そちらの話の内容によりけりですね”と応じるのもよいでしょう。 ●例文3では、まず相手の意思を尊重する姿勢を冒頭に打ち出している。「私の忠告を聞きたければ話すし、聞きたくなければ無理に話すことはしない」という論法です。紳士的な態度を示して、相手の好感を誘う格好になっています。 ●例文4は2000年以前に生まれた古い諺 “忠言逆耳利于行” を用いてズバリと口火を切り、堂々と忠告を開陳するいわば単刀直入スタイル。謙遜語 “奉劝” も交えて、いかにも教養人好みの表現形式を取っている。このほかにも、ズバリタイプとして “我有件事要让你明白。 あなたに分かってもらいたいことがあります”などがあります。 ●例文5は忠告が相手の怒りを買うかもしれない点を見越して、予防線を張る言い方になっている。 ●例文6は「私の忠告が的外れで不適切なら、聞かなかったことにすればよい」と相手に退路を用意してあげ、それによって相手がある程度、安心して忠告を聞ける心理環境を作り出しています。 ●例文7は忠告の結びに使うこともできるフレーズ。「でしゃばってあなたに忠告を受け入れるよう催促したり、押し付けたりなどはしません」と断っておく言い方。「ご自分でじっくり検討してください」と相手の主体性を尊重しています。 Ⅱ 心理状態の調整に関する忠告 1. 我劝你不要冲动。 2. 你自己要加倍小心。 3. 要小心,再小心。 4. 快别生气了。 5. 你要沉住气。 6. 别耍孩子脾气。 7. 火气别这么大嘛! 8. 你别多心。 9. 你太要强了。 10. 我们一定要耐着性子。 11. 你不要因为这件事就有什么负担。 ★語注; ![]() ●冲动 chōng-dòng;動詞 自制できずに興奮する/激する/高ぶる/発作的な行動に出る ●加倍 jiā-bèi;副詞 一段と/いっそう ●沉住气 chén-zhù-qì;動詞句 気を鎮める ●孩子脾气 hái-zi pí-qi;名詞句 自己中心的な子供の性分/子供っぽさ ●火气 huǒ-qì;名詞 怒り ●多心 duō-xīn;動詞 気を回す/勘ぐる ●耐着性子 nài-zhe xìng-zi;動詞句 怒りっぽい性分をこらえる ★解説; ●例文1は衝動的、発作的な行動に対する戒め。例文2は自分でわが身を護る警戒心を一段と高めよ、との忠告。例文3は用心に用心を重ねよ、との忠告。 ●例文4は怒っている人に「早く気を取り直してちょうだい」となだめるフレーズ。 例文5は緊急事態や感情の高ぶる場面において、慌てたり、取り乱したりすることがないよう「気を鎮めなさい」との忠告。 ●例文6は「わがままな子供でもあるまいし、もっと大人らしく振る舞いなさい」と相手をたしなめる言い方。 ●例文7は「なにもそんなに怒らなくても…」、例文8は「へんに気を回さないでください」、例文9は「あなたは負けん気が強過ぎますよ」との忠告。 ●例文10は「みんなは必ずじっと耐えてください、かんしゃくを起こしてはなりません」、例文11は「あなたはこの事で何かプレッシャーを感じてはなりません」との忠告。 以上の例文はいずれも広い意味で忠告の部類に属しています。人間の感情や心理状態の中で、衝動・怒り・油断・興奮・猜疑・癇癪・プレッシャーなどは行為にマイナス影響を招くおそれがあります。紙幅の関係で各例文の文脈は示していませんが、いずれもそうした危うい感情や心理状態を良好な状態に調整したり、戻したりするように忠告しているわけです。 最後に予告になりますが、次話では本話の続きとして、「物の見方・考え方に関する忠告」、「利害得失を説く忠告」、「道徳・モラルを説く忠告」などを取り上げます。 |
(次回に続く) |